リハビリテーション科
特色
リハビリテーション科では、急性期のできるだけ早い時期から積極的な離床を行い、諸機能の回復、残存能力を活かした生活動作の獲得、合併症・廃用症候群予防のために、リハビリテーションを提供できる体制を整えています。
また回復期リハビリテーション病棟では365日のリハビリテーションを毎日続けながら、1日も早い機能回復をめざしています。スタッフは患者様の状況を常時把握し、各科と情報共有し連携をとりながらリハビリテーションをすすめていきます。
リハビリテーション室
400m2以上ある広々としたスペースを確保し、高さが5m以上と明るく開放的な空間で訓練に取り組める施設となっています。
施設基準
- ・脳血管疾患リハビリテーションⅠ
- ・運動器リハビリテーションⅠ
- ・呼吸器リハビリテーションⅠ
- ・心大血管疾患リハビリテーションⅠ
- ・がんリハビリテーション施設承認
診療体制
理学療法士 35名/作業療法士 13名/言語聴覚士 4名/運動実践指導師 1名/助手 2名
心臓リハビリテーション指導士 2名/認定呼吸療法士 3名/介護支援専門員 3名
医療情報技師 3名/住環境福祉コーディネーター2級 3名
診療実績
疾患別 | 脳血管 | 運動器 | 廃用 | 呼吸器 | 心大血管 | がんリハ | 合計 |
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2020年度 | 1384 | 1543 | 336 | 327 | 337 | 184 | 4121 |
2019年度 | 1123 | 1780 | 398 | 334 | 413 | 133 | 4181 |
主な対象疾患
- 中枢神経系
- ・脳血管疾患・脳腫瘍・頭部外傷・脊髄損傷・神経難病(パーキンソン/ギランバレー/脊髄小脳変性症)など
- 骨関節疾患
- ・骨折術後(大腿骨頸部骨折など)・変形性関節症術後(人工膝関節/人工股関節)・肩関節疾患(腱板断裂/五十肩など)
・脊柱管狭窄症・関節リウマチ・手の術後(腱断裂/コーレス骨折など)・四肢切断術後 - 心大血管系
- ・心不全・急性心筋梗塞・閉塞性動脈硬化症・ペースメーカー術後・拡張型心筋症など
・開胸術後(冠動脈バイパス/弁置換/弁形成)・大動脈解離、大動脈瘤(人工血管置換術/ステントグラフト内挿術) - 呼吸器疾患
- ・慢性閉塞性肺疾患・肺炎・人工呼吸器の離脱
- がん・廃用症候群へのリハビリ
理学療法
理学療法では、ケガや病気などで身体機能が不自由になってしまった方に対し、座る・立つ・歩くなどの動作能力の回復や維持、悪化の予防を目的に、運動療法や物理療法などを用いて、自立した日常生活が送れるよう支援します。
当院の理学療法では入院早期より介入し、廃用や合併症の予防・動作能力の再獲得に向けたリハビリを進めます。このような急性期では病気やケガの治療に配慮しながらも、それと並行して早くから「起きる・座る・立つ・歩く」を行っていけるように多くの療法士が配置され補助具や機器の充実をはかっています。
また、回復期リハビリテーション病棟では「自宅や社会復帰を目指し、再度その人らしい生活が送れる事」を目標に充実した環境(専従配属のリハビリスタッフやソーシャルワーカー)でのリハビリが365日提供できる体制を整えています。また平成29年度より外来心臓リハビリテーションを開設し健康増進、冠動脈疾患の二次予防にも積極的に取り組んでいます。
心臓リハビリテーション
当院では急性期から維持期まで継続した心臓リハビリテーションを実施しています。入院・術後早期から心臓リハビリテーションを開始する事で、廃用症候群や合併症を予防し、日常生活への復帰を目指します。回復期や維持期では心肺運動負荷試験を行う事で、安全で効果的な運動指導を実施しています。またカウンセリングや患者様向け勉強会を定期的に開催する事で、社会生活への復帰や生活習慣の改善、疾病の再発予防に取り組んでいます。
心臓リハビリテーションでは専門の医師・理学療法士を始め、看護師・管理栄養士・薬剤師・臨床工学技士など他業種によるチーム医療を提供する体制を取っており、患者様個々に合わせた包括的アプローチを実践しています。
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心肺運動負荷試験(CPX)
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心臓リハビリテーション室
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他職種合同カンファレンス
メディカルフィットネスSORA
当院ではリハビリテーションを終了した患者様が、健康維持と介護予防を目的に、いつまでも健やかで生き生きとした生活を送れるように医療法第42条施設の認定を受けた疾病予防施設 メディカルフィットネスSORAを併設しております。
生活習慣病予防や介護予防、日頃の運動不足解消、減量、健康増進、リハビリテーション終了後の運動など、それぞれの目的に応じた運動メニューをメディカルスタッフが作成し、利用者様の健康をサポートします。
動作解析ソフト「ダート・フィッシュ」の導入
リハビリテーションの内容や進捗状況を紙面だけでなく画像や動画を用いて、術前と術後や訓練前と訓練後を客観的に評価し治療や説明に活用しています。
作業療法
作業療法では、脳卒中・脊髄損傷・骨折等で、食事、更衣、入浴、排泄、整容、家事動作などの日々の生活動作が困難になった方に対して、再度その人らしい生活が送れる事を目標に訓練を行っています。当院では、作業療法士が入院早期からベッドサイドへ出向き日常生活動作の適切な方法やアドバイス、環境設定の指導をしながら動作の獲得に繋げています。また、病棟スタッフと連携を図り、病棟生活の中でも自宅復帰に向けて日常生活動作を積極的に行い、外出や外泊中の状況を聞きながら再度必要な動作訓練を行うことで少しでも早く自宅復帰に出来るよう進めています。
残存機能を活用し、ご自分で出来る事を増やしていけるように、バネつきの箸や太柄のスプーンなどの自助具の紹介や訓練も行います。その他ナースコールやパソコンなどのコミュニケーション機器の操作を行えるように特殊なスイッチの紹介や設置、操作方法の訓練を行います。
最新の電気刺激装置を用いて、より効果的なリハビリの提供を行います
言語聴覚療法
言語療法では脳卒中や頭部外傷、神経変性疾患が原因で言語障害を持った患者様、注意障害、記憶障害、社会的行動障害等の高次脳機能障害患者様に対して、言語機能の改善を促進する訓練やコミュニケーションの実用化を図る訓練、残存機能の活用を促進する訓練を行います。また難聴の患者様に対して補聴器適合検査も実施しています。摂食・嚥下障害については脳卒中から舌、頭頸部癌術後までと多岐にわたる科からの依頼があります。医師の指示のもと他職種と連携をとりながら、適切な評価に基づき訓練および、安全な食事方法を検討し、患者様により安全で楽しい食事時間を提供できるよう最善を尽くしています。
リハビリテーション科の取り組み
当科に依頼がある患者様は脳血管・整形・循環器・変性疾患と多岐にわたります。これら全ての疾患に対応できるスタッフを数年かけて育成できるよう教育体制を更新しながら進めています。また部署全体で行われる勉強会、症例検討会、病院全体で取り組む勉強会も多数あり、日々自己研鑽に努めております。
リハビリ科内での研修
- ・医師を交えての症例検討会や勉強会の開催 1回/月
- ・年間30回に及ぶ各専門分野の勉強会
(脳血管/整形/内部/呼吸/循環器疾患・高次脳機能・装具・リスク管理・実技練習等) - ・外部研修の伝達講習
教育システム
- ・新人教育プログラムに基づき1年間かけて日々の業務・訓練について指導を行います。
- ・症例報告/検討・代行システムを利用してリスク管理や練習方法の指導を行います。
※スタッフが増えるに従い、教育システムを少しずつ改定しながら全員が相談しやすい環境を作ることを心がけています。