外来化学療法室
がんについて
現在、日本人の2人に1人は一生のうちに何らかのがんになるといわれています。がんは、すべての人にとって身近な病気になってきています。しかし、がんといっても、その病状や経過は、がんの種類やがんが見つかった時の状態などによって異なり、人によって様々です。
がんになる人の数とがんで死亡する人の数はいずれも年々増加していますが、その主な理由は、人口全体に対する高齢者の割合が増えていること(高齢化)です。高齢化の影響を除いたときの、一定期間中にがんになる人の割合は、2010年ごろからほぼ横ばいに、がんで死亡する人の割合は1990年代半ばをピークに減少しています。
治療薬の進歩などにより、がんにかかった人の生存率は、多くの部位のがんで向上する傾向にあります。転移や再発をした場合でも、治療を受けながら社会生活を続けている人は少なくありません。
がんの治療
がんの治療は、大きく分けて3つに分類されます。外科的治療(手術)・薬物治療(抗がん薬治療)・放射線治療です。治療法が進歩した現在においても、がんの種類や進行度によっては、単独の治療法では不十分で、効果を得られない場合があります。より高い治療効果を目指して、これらの治療法を組み合わせて行うこともあります。
薬物治療
薬物治療の薬は、がん細胞を攻撃します。がんの治療で使われる薬の種類には、「細胞障害性抗がん薬」「内分泌療法薬(ホルモン療法薬)」「分子標的薬」などがあります。薬の種類によって、がん細胞への攻撃の仕方が異なります。
最近では、免疫細胞へ作用する「免疫チェックポイント阻害薬」が多数使用されるようになりました。単独での使用や、他の抗がん薬と組み合わせ使用することもあります。
外来化学療法室
病院に通いながら行う抗がん薬治療を外来化学療法といいます。近年、抗がん薬治療だけではなく、抗がん薬の副作用を緩和するための治療(支持療法)も進歩し、入院せずに日常生活を維持しながら抗がん薬治療を続けられるケースも増えてきました。
当院の外来化学療法室は、ベッド、リクライニングシートあわせて13床あり、抗がん薬治療や、一部の生物学的製剤の点滴治療を行っています。
外来化学療法室には、専任の看護師、薬剤師が従事しており、有事の際には速やかに主治医へ報告できる体制を整えています。リラックスし、安心して治療を受けていただけるよう、環境を整えています。
看護師より投与前に体調の確認、投与中の点滴ルート管理、体調変化を確認します。投与終了後も、副作用が出ていないかを確認します。また、薬剤師より投与する薬剤の説明や、副作用の確認、対策、日常生活の注意点などをわかりやすく説明します。その他、理学療法士、管理栄養士など、他職種で治療中の患者様のサポートいたします。体調の変化だけではなく、疑問や不安なことがあれば気兼ねなくお声かけください。
抗がん薬治療を受けられる患者様へ
治療の流れ
外来で化学療法を受けられる場合、来院後、採血など必要な検査を受けられ、医師の診察となります。診察室では、医師が患者様の体調と検査結果などを確認し、治療を実施するか決定をいたします。体調の変化、体重の大きな変動がある場合はお申し出ください。
治療が決定後、2階の外来化学療法室へお越しください。当日、投与する薬剤は、薬剤師が無菌的に調整を行っています。治療の種類により点滴を始める順番が前後する場合がありますのでご了承ください。
当院では、保険薬局との薬薬連携を行っています。治療の際には、お薬手帳をご持参ください。当日の治療内容や、副作用状況を記載し、保険薬局薬剤師と情報共有を行うことがあります。その際、保険薬局薬剤師へ相談された内容も、当院薬剤部へ情報がフィードバックされます。副作用の早期発見や主治医の次回診察へ反映することができます。
外来化学療法室内では、リクライニングシートを使用する場合、テレビの鑑賞が可能です。できるだけご自身のイヤホンを持参してください。
また、飲水、飲食も可能です。ただし、他にも治療中の患者様がおられますので、においのきつい食品は避けてください。
自宅での過ごし方
患者さんの状態、使用する薬剤で発現する副作用および発現時期は異なります。
以下のような症状がある場合は、病院に連絡し、重症化を防ぐためにもできる限り午前中に受診をしてください。
- ・38度以上の発熱
- ・水様便が1日5回以上
- ・便や尿に血が混じている
- ・尿の量が異常に少なく、体がむくんでいる
- ・吐き気がひどく、水分もとれない
- ・咳が止まらない、息が苦しい
- ・体がだるく、動くのもつらい
- ・口内炎がつらく、食事や水分がとれない
- ・点滴の針が入っていた部位に痛みがある、腫れている
- ・自分では判断できない症状や受診をしようか迷う症状がある
緊急の場合、電話対応を24時間受け付けています。
連絡先:0743-65-0372
平日の9時から17時30分までは外来化学療法室専任看護師が対応します。
その他、土日、祝日、夜間帯は当直薬剤師が対応いたします。
お電話の際は、外来化学療法室で治療を受けている旨、症状をお伝えください。